目次
近年、電気代やガス代などのエネルギーコストが年々上昇し、工場や倉庫を運営する企業にとって「いかに光熱費を削減するか」が重要な経営課題となっています。
特に夏場は屋根や外壁が熱を吸収し、空調にかかる負担も増加。結果として、冷房効率の低下や室内環境の悪化を招いてしまうケースも少なくありません。
こうした課題に対し、近年注目を集めているのが「断熱・遮熱塗装」です。
ただ塗装するだけで、室内温度の上昇を抑え、空調コストを抑制できる――そんな一石二鳥の省エネ対策が、今多くの工場で導入され始めています。
本記事では、断熱・遮熱塗装の基礎知識から導入メリット、実際の事例、補助金を使ったお得な方法まで、工場の省エネ・コスト削減に直結する情報をわかりやすく解説します。
1. 省エネ対策に「断熱・遮熱塗装」が選ばれる理由
エネルギー価格の高騰により、今や製造業にとって電気代の見直しは欠かせない課題です。
特に空調にかかるコストは、工場の規模が大きくなるほど膨らみ、年間で数百万円にも及ぶ場合もあります。
そこで近年注目されているのが、建物の外装に施す「断熱・遮熱塗装」です。太陽光や外気の影響を抑え、建物の内部温度を一定に保つことで、空調の稼働を最小限に抑えることができます。
遮熱塗装とは?
太陽光の中でも特に熱をもたらす赤外線を反射することで、屋根や外壁の温度上昇を抑える塗料です。
夏場の工場内温度を3〜5℃程度下げられることもあり、エアコンの稼働時間短縮に貢献します。
断熱塗装とは?
熱を伝えにくい性質を持った塗膜を形成することで、夏の熱気や冬の冷気を遮断し、室温の安定化を図ります。
冷暖房費の削減はもちろん、建物の劣化速度を抑える効果も期待できます。
このように、断熱・遮熱塗装は「手軽な省エネ対策」として、初期投資を抑えつつ持続的なコスト削減が期待できる選択肢です。
2. 効果を発揮しやすい場所と塗料の選び方
断熱・遮熱塗装を導入する際、どこに塗るか、どんな塗料を選ぶかによって効果は大きく変わります。
効果が高い施工箇所
● 屋根
直射日光を最も多く受ける屋根は、真夏には表面温度が60〜70℃に達することも。
遮熱塗料を使用することで10〜20℃の温度低下が見込まれ、室温上昇を抑制できます。
● 外壁
南面・西面の壁は特に強い日差しを受けるため、遮熱・断熱塗料を塗布することで室温への影響を和らげます。
● タンク・配管・設備類
設備機器の表面温度上昇を抑えることで、冷却効率の向上や故障リスクの低減にもつながります。
塗料の選び方
断熱・遮熱塗料はさまざまなメーカーから提供されています。選定時のポイントは以下の通りです。
-
遮熱指数(赤外線反射率)が高いか
-
耐候性・耐久年数が十分か
-
建材との相性(鋼板、モルタル、ALCなど)
-
実績があるか(工場施工の使用例など)
代表的な塗料には、アステックペイント「スーパーシャネツサーモ」、日進産業「ガイナ」などがあり、どちらも工場での実績豊富です。
これらの性能を最大限に活かすには、施工業者の技術力も非常に重要です。
3. 実際の導入事例と導入時の注意点
川崎市内の導入事例
ある川崎市の金属加工工場では、屋根全体に遮熱塗装を実施。
その結果、室温が約5℃下がり、エアコンの稼働が大幅に減少。年間の空調費用が20%以上削減されました。
また、物流倉庫で断熱塗装を行った事例では、夏場の暑さが和らぎ、作業員の集中力・作業効率が向上。
「労働環境の改善」という副次的効果も高く評価されています。
導入時の注意点
● 稼働中の施工対応
工場を止めずに施工するには、安全対策や臭気対策が必須。
「夜間施工」「エリア分割施工」など柔軟な対応ができる業者を選ぶと安心です。
● 効果を過信しすぎない
断熱・遮熱塗装はあくまで補助的な省エネ手段。
建物の構造や既存の断熱性能によっては、単体での効果が限定的になる場合もあります。
空調機器や断熱材と組み合わせた全体最適化が望ましいです。
● 業者の選定がカギ
・工場施工実績が豊富
・使用塗料や効果について具体的に説明できる
・補助金申請サポートがある
こうした条件を満たす業者を選ぶことで、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。
4. 補助金を活用して賢く導入する方法
塗装工事にはある程度の費用がかかりますが、補助金を活用すればその負担を大幅に軽減できます。
国の主な制度(例)
-
経済産業省「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」
-
中小企業省エネ設備導入補助金など
※対象になるかどうかは工事内容や条件により異なるため、早めの確認が重要です。
地方自治体の補助金(川崎市)
-
川崎市地球温暖化対策補助金
省エネ・再エネ関連設備を導入する企業に対して、工事費用の一部が助成される制度があります。
→ 詳しくは「川崎市の補助金ページ」をご参照ください(内部リンクを設置予定)
申請時の注意点
-
工事前の申請が原則(着工後は対象外になる場合あり)
-
書類の作成に時間がかかるため早めに動くこと
-
施工業者によっては申請サポートも可能
導入費の約1/2〜1/3が補助対象となる場合もあり、コスト面のハードルを大きく下げることができます。
5. まとめ
断熱・遮熱塗装は、工場の空調コスト削減だけでなく、作業環境の改善、建物の長寿命化、さらには企業の環境配慮姿勢のアピールにもつながる、非常に効果的な投資です。
特に川崎市や神奈川県内の工場では、地域の気候特性に合った遮熱・断熱対策が有効です。補助金制度を活用すれば、導入コストも大幅に抑えることが可能となります。
さらに、断熱・遮熱塗装は「工場改修」の一環として取り組まれるケースも多く、設備全体の見直しや改修のタイミングで導入することで、より効果的な省エネ対策が実現します。
工場の改修全般について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
→工場改修とは?基礎からわかりやすく解説
池田塗装では、現地調査から塗料のご提案、補助金活用のサポートまでトータルに対応しております。工場の省エネ対策をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。